みどりのおうちのじかん tenobe.exblog.jp

誰にとっても、日々の暮らしは かけがえのない時間。ひとつひとつを大切に物語をつむいでいきたい


by hituzi-to-yagi
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『THE WIND IN THE WILLOWS』は
日本では「たのしい川べ」として1963年に岩波書店からでている。
今回、縁があって初めて読んでみた。
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本を開くと、自然の描写がとても美しく、すーっと物語に入ってしまって、途切れることなく
最後まで楽しめた。
楽しさにも幾重もの厚みがあり、そしてとても繊細な心地よさが隅々まで行き渡っていた。
音なのだろうか、綺麗な言葉のおかげで、音楽を聞いているようだった。
川のせせらぎか風のなかに佇んでいるうちに通り過ぎていったようでもある。

実際には日常の合間合間に読んだので読む作業は何度か中断したのだが、それでも気持ちが
途切れることはなかった。そのことがまたとても興味深かった。

私は作者のケネス・グレーアムをまったく知らない。
予備知識もなかったし、故に先入観もなく読んだ。
ただ、昔からどこの図書館に行っても置いてあって、背表紙、表紙は見知っていた。
そういう意味では私にとってはまったく知らない仲でもなかった。
しかし本を開いてみることはなかったので顔見知りとはいかない。
そういう本は当然たくさんある。そのうちの一つだった。

この本を読み終わったときの思いをどう言葉で表現したらよいか。
とても嬉しくて、私にとっての一番思い入れのある本のその隣りに並ぶ本になりそうだ
とそのときは思ったのだが、一週間以上経って気持ちが静まってみると、
まあそう慌てて決めることもないと思って、今の自分の様子を眺めているという状況。

この本を読み終わったときに、実はなぜか別の本のことが思い出されて仕方がなかった。
それはA・A・ミルンの「クマのプーさん」と「プー横丁にたった家」。
内容は「たのしい川べ」と似ても似つかないと私は思っていて、でもだからこそ思い出すのだろうか。
クマのプーさんも大人になってから読んだのだが、こちらも独特の読後感があって忘れられない一冊になった。

誰しも大人になってからも子どものときの気持ちとのあいだを行き来することがあると思う。
私自身は割とそういう機会があって、その時間を楽しんでいる。
それとは別に、誰しも子供時代の幸福で特別な時間があったと思う。
これはもしかしたら覚えていない人もいるのかもしれない。
あるいは今となっては思い出せないと言ったらよいか。
一瞬のような永遠のような時間というか、あるいは心持ちと言い換えてもいいかもしれない…。
その『子供時代の特別な時間』をミルンはプーのなかで描いていると感じた。

読んだかたはお分かりかと思うが、プーの最後の章が始まったときのあの書き出しに(!)こころのなかで、
「え、この時間を終わらせちゃうつもり?なんて作者はひどい人なの!!」と思った。
そう、もちろん、作者は大人なんだからそれが当たり前かもしれない。
いつかは終わりがくる。それが当然だ。
でもプーのために言っておくと、その時間は永遠にそこにある、ということを信じさせてくれる描き方を
ミルンはしていて、だからこそ、プーは、大人になった人からも信頼されうるのだろうと思う。

そのクマのプーさんに比べて、たのしい川べは最初から、たのしいだけではないもっと現実的な生き死にの
厳しさをそこここに織り交ぜているし、その厳しさのなかでいきる美しさがハッキリと描かれている。
が、それらはとてもさりげなく織り込まれていて、おはなしから突出していない。
気が付かないで済むくらい。
それをなんと言っていいか…うまい言い方が見つからないが…時間が経つほど静かに効いてくるおはなしで
この余韻がすごい。

そしてモグラさんも川ねずみさんもアナグマさんも、出てくる人物の誰もが
自分に引き寄せて感じることができるくらいよく書きこまれていて、書きこぼしがない、
そのことがとても嬉しかった。
通常の人間関係でも、人がたくさんいれば割りを喰う人もでてくるのが普通だが、ここではそれがない。
こんなに安心して読めることほど嬉しいことはないと、読んで初めて気がつけた。
ヒキガエルはちょっとあまりに子供らしさが描かれ過ぎていて私にはくどく、うう~ん…と思わなくもないが
一方で、ヒキガエルに成りきって悪徳の限りを尽くせる解放感があって、そこがたまらなかった。
ヒキガエル、嫌いじゃないゾ(*^^*)

他にも牧神パンの出てくる章やそれぞれの家がでてくる章がとても印象的で、映画を観終わったときのように
誰かと語り合いたくなる、そういう本だった。

読了後に、それぞれの本を子供時代に読んだという人から話を聞いた。
プーさんに子供時代に出会った人の一人は、大人になった今もなにか物事にぶつかったときに
「プーだったらどうするだろう?」と考えるのだそうだ。
そのかたにとって、プーはちゃんと居て、今もプーのいる世界と地続きなのだろう。
羨ましく思った。
子供時代にそういう味方を得ることができたら、その後の人生はどんなに心強いだろう。

また、たのしい川べを子供時代に読んだ一人は、たのしいおはなしとして今でも心に残っていて、
今でも時折読み返すのだと教えてくれた。
その人にとってもたのしい川べは今もちゃんとあって、いつでも戻ろうと思えば戻って行ける場所なのだろう。

本の読み方は様々で、本の数分、人の数分、幾通りもある。
ましてや本はどうしても必要なものでもないだろう。
私もそう思っている。
実際のたくさんの人との関わり、自然のなかでの経験など、私にとって『なくてはならないもの』は
本以外にもたくさんあった。
でも同時に本もあったからこそ、私は豊かでいられたし、独りのときも楽しくいられた。
こうして人の話を聞いてみても、人と本とは特別な関わり方ができるんだなと感じる。
それがおもしろい。
とてもおもしろい。




















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# by hituzi-to-yagi | 2016-02-01 11:59 | 書庫

昨年の9月の「水と風といきものと」の上映会の翌日、
逗子にある理科ハウスに行ってきました。
ここは富山の友人から絶対に行くべし、
と言われてずっと気になっていた場所です。

同じ神奈川県内でもなかなか行く機会を作れず
5年以上が過ぎてしまい、
さずがにじりじりしていました。
もうとにかく追いこんで「この日」と決めないことには
いつまでも行けなかったと思います。

この日は金木犀が香り始めた日。
海を見ながら海岸沿いをひたすらに車でドライブ。
(逗子は初めてだったため、途中道を間違えるアクシデントも💦)

そしていよいよ念願が叶って理科ハウスを満喫しました!

もう幸せ~♡♡♡としか言えないですね♪

初めての場所だし、
都道府県にあるような博物館と違って
一軒家くらいの広さの空間へお邪魔するわけですから、
私たちみたいな新顔は目立つしで、
とても緊張して行ったのですが、
もう途中からはそんなことに構っていられないくらい
目の前のことに夢中になり過ぎて、時間も忘れるくらいでした。
大人が帰りたくないくらいの場所って
どんな場所なんだという話ですが。

なんて言うんですかね~。
夢中になっちゃうんですよね。
どうしようもないです。
だって面白いんですから。

心底、LiKa●HOUSeのご近所に住む人たちが
羨ましくて仕方がないです!

私たちが伺ったときは
「にんげんだもの展」という企画展の最中で、
残り2日のところへ滑り込みセーフ!
この企画がまたよかったんですよぉ!

入館時にいくつか質問をされます。
その質問の意味も答えも2Fの企画展に参加するまではマル秘。
なんなんだろう~?と居合わせた人々同士、
顔を見合わせながら、取りあえず入場。
おもしろいですねー♬
それだけではなく。

さすが理科ハウス。
例えば、色とりどりの風船が置いてあって。
詰め物がされています。
一つ一つに粉物が入っていて、触って、中身はなんだろう?
と考えて当てます。
これ、大の大人がうんうん真剣に考えても、
当てるのは結構難しいんですよ。
普段、片栗粉や小麦粉、上新粉や砂糖にお塩等、
調味料は何気なく使っていますが、
じっくり触ったり観察することもないまま
口に入れていますからね。
考えれば考えるほど、風船のゴムを通して触るほど、
むむむっ…となります。

で、それがおもしろい!!

利き水もしましたが、
これは自分の五感を信じられなくなるくらい難しかったです。
ほとんど正解に辿り着けなかった…。
もう一回挑戦したいと言ったら
諦めが悪いと言われるかしら(- -;)

自分でも作ってみたいなと思ったのが、
幅広のゴムに宇宙の始まりやら地球の年表、
生きものの創生などが書いてあり、
引っ張ると、びよーんとなるのです。
こういうの大好き!
他にも階段を昇っていくと、
人間の祖先を遡って
いろんな猿人の人型と脳の模型が
手作りして置いてあって、
脳の重さとか大きさを持って確かめられるのです。
これには大興奮!!
なんて楽しいんでしょう💛

物事を理解するのに、
こうやって「体験に置き換える」、
ということがとても丁寧にされてあって
素晴らしい人たちが運営されているなぁと思いました。
このときに
前日行った「水と風といきものと」の中村桂子先生のお話が
館長さんとのおしゃべりで偶然でて、
これが二つ目の出会い、という訳です♪

熱を持っている人たちはとっても素敵です☆彡
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理科ハウス HPhttp://licahouse.com/index.html
日記を見た感じでは1月早々から盛り上がっているみたいですよ♪
ちょっと覗いてみては?(^_-)-☆
























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# by hituzi-to-yagi | 2016-01-15 21:03 | ひと

さてさて、新年を跨ぎまして前回の続きです。前回と言っても昨年の9月のことですが(^^;

いきなりですが「えほんやるすばんばんするかいしゃ」ってどう読んだらよいか、わかりますでしょうか?
多分、「絵本や 留守番 番する会社」という感じで漢字をあてると意味が通じるのかな?と思うのですが、本当のところは未確認でして、よくわかりません。(それとも絵本屋なのかな?)

それは9月のとある日、「水と風と生きものと」の映画を観終わって、お隣のカフェで開催中の生命誌研究館の展示を拝見していたときでした。映画館で知り合った女性(当然、初対面の人)と展示物について話していて、いきなり、「これから本屋のはしごをするんですけど、一緒にどうですか?」と誘われました。

「!!?☆♡」…飲み屋のはしごもしたことのない私に、いやいやそれ以前に、誘われることなんてほとんどない私に、大好きな本屋のはしごをピンポイントで誘ってくるなんて!どうしましょう♡♡♡(脳内では扇を持って狂喜乱舞する私が~)

ええ、ワタクシ、普段から本屋も図書館もはしごというか、掛け持ちですのよ。初対面だというのに、なんでわかるのかしら~もう!(*^^*)と思う反面、一瞬、理性で「シラナイヒトニツイテイッテハイケマセン」という言葉が頭をよぎりました。が、私はもう立派な大人!(多分)
次の瞬間には、「行きます行きます💛」「どこにあるんですか♡」と答えていました。(一応、どこにあるか、どういう人なのかもっと聞いてから判断しようと考える冷静さはありました)

よくよくお話を聞くと、その女性は横浜方面で読み聞かせをされていて、読み聞かせ仲間がおられてとっても楽しく活動されているのですがお忙しく、たまに都内にでたときには本屋のはしごをするのだそうです。特に科学の絵本が好き、というお話でした。(おお!一緒だぁ♡と心の声)

そういう訳で、初めて高円寺にある「えほんやるすばんばんするかいしゃ」に行ってきました~♪♪♪
\(^^)/\(^^)/

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(↑えほんや るすばん ばんする かいしゃの名刺の表と裏)




行ってみると……つまり『たくさんの絵本の留守番を人が務めているということですね☝』と言いたくなるくらい本が壁をずらっと天井まで埋め尽くすくらいに並んでいて、本でぎゅうぎゅうの空間で凄かったです♪床板が抜けそうな…
もう、私はすっかり夢中になってしまいまして、連れてきてくださった女性のことも、このあと待ち合わせしている家族のことも忘れて、棚の前から動けなくなり…。結果、はしごはできなくなりました~(^^ゞてへっ

このときお持ち帰りした本はこちらです☆




 『チムひとりぼっち』
 アーディ・ゾーニ 作/絵
       神宮輝夫 訳 
 1968年12月 偕成社

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『おばかさんのペチューニア』
 ロジャー・デュボアザン 作/絵 
        松岡享子 訳
   1978年12月 佑学社

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『島のたんじょう』
 ミリセント・M・セルサム 文
 ウィニフレッド・ルーベル 絵 
         岩井好宏 訳
 1969年    福音館書店 

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ちなみに私が行ったときはロシアや東欧の美しい本の原書が目をひきました。
店主さんが言われるには、高円寺界隈もここ十年くらいで随分変わったそうですね。私はもっと前の時代に中野や世田谷あたりに居住していた時期があって高円寺も少しは知っていたはずなのですが、昔のこと過ぎて記憶もあやふやです💦
店主さんは訥々と本のことや本屋のことを語ってくださり、私もとても愉しい時間を過ごさせていただきました。
本屋でも図書館でも、並んでいる本の面構えを見て、そこに関わっている担当者さんや司書の方々、更にはお客さんたちを想像するのが楽しみなんですね。どの棚も隅々まで見てしまいます。

えほんやるすばんばんするかいしゃさんは1Fがギャラリーになっていて、そちらにも本が置いてあります。メインは細い階段を昇った2Fにあります。階段の突き当りも本棚で、まるで穴蔵みたいな雰囲気が素敵でした♬
















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# by hituzi-to-yagi | 2016-01-15 20:15 | ひと